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2章 まずは自分とのつきあい方


2-3. ESの見えない「仕掛け」とは?

あまり、学生にはわからないと思うんですが、エントリーシートに書く内容や、面接で聞かれることも「微妙に」変わります。
というのも、大きな骨格に変化はありません。「自分の今まで」と、「社会に出てから」について書く。つまり、それがいわゆる「自己PR」などになるわけです。
この「自分のこと」を書け、と言われても大概の学生は困ります。ただし、いろんなアドバイスを読めば大体同じことが書いてあるでしょう。
その中で、最も多いのが「達成したこと」を書きましょう、という話です。最近では企業側もわかっているので、あらかじめ「達成したこと」を問うようなエントリーシートもあります。
ただし、この方法が広まってしまったために、何が起きたか?
そうです。学生のエントリーシートには「プチ達成」が溢れることになります。これは読む方にとっても似たりよったりになるし、書く方だって辛い。
「やっぱ、大したことしてないよな~」という気分になってしまうこともあるでしょう。
そこで、新しい切り口が登場しました。それは「挫折の経験」をしっかり書こうというパターンです。
つまり、「うまくいった話」だけではなく、そのプロセスまで聞いてみようと思ったわけですね。
こういうのは、ある種の流行のようなところもあります。日本では、就活ビジネスが発達しているので、あっという間に対策が生まれる。そこで、企業側も方法を変える。
その繰り返しになっていような面はたしかにあります。企業としては、あっという間に対策マニュアルができてしまうのだから、読み込みにも工夫が必要になるのです。
では、どこを読んでいるのか?あるいは、面接では何を聞いているのか?ということになります。
実は、「達成した内容」や「挫折の経験」という事実にはあまり関心を持っていません。
それはあんまりだ、と思うかもしれないけれど、別に過去の経験に興味はないのです。
一番聞きたいのは「挫折して、何を考えて、どんな動機づけで行動したのか」ということです。
つまり、「考えから行動に至るプロセス」を聞きたいのです。
ところがエントリーシートには大概いそうは書いてません。
「一番達成感が得られたこと、を具体的に記入してください」「学生時代に最も力を入れたことは何ですか。それにより何を学びましたか。」
大体、このような問いかけが多いのです。ただし、この問いにそのまま事実を並べても同じになる。
ただし、そこに「自分なりにどう考えて、どう動いたか」ということが見えれば、一歩抜け出て見えるはずです。
エントリーシートの質問は、無愛想です。しかも似たり寄ったりです。しかし、その素っ気なさが実は「仕掛け」でもあります。
挫折でも達成でも、その事実はたしかに貴重な思い出です。しかし、採用側は、「これから何をできるのか」に関心があります。だから、「どう考えたか」に関心がある。その延長線上に、学生の将来を想像できるかが大切になるわけです。

一見して似たようなエントリーシートにも見えない「仕掛け」がある。過去の事実よりも「考えたプロセス」を採用側は知りたい。
( 2012年10月31日 )

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就職を控えた学生が「就活前」に知ってほしいことや、考えておくべきことを書いていきます。読みながら気持ちの準備を進めてもらいやすいように、毎日少しずつ。溢れる情報の中で迷ってしまった時に、立ち返ってこられるようなサイトにしたいと思います。
著者紹介
山本直人 やまもと なおと
1964(昭和39)年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部卒業。博報堂に入社。2004年退社、独立。現在マーケティングおよび人材育成のコンサルタント、青山学院大学経営学部マーケティング学科講師。著書に『電通とリクルート』など。