ウェブ・ブックレット
就活セットアップ
ウェブ・ブックレット
就活セットアップ

3章 就活情報に負けない


3-2. ESは多い方がいい」の意図は?

前回お話したように、ナビサイトは基本的には「広告のかたまり」のようなものです。
企業は、就職情報企業におカネを払います。それによって、自社の情報を載せて、エントリーを受け付けて、選抜する。そして、当然のように払った分の成果を期待しています。
その成果とは何だと思いますか?
企業が「欲しい」と思う人材を獲得することでしょうか?
もちろん、それは最大の目標です。
ただし、それは結構計測しにくいのです。仮に毎年100人採っている会社があったとします。
採用が終わった時、「今年の100人は、例年に比べてよかった」とか評価できるかと言うと、そう簡単にはいきません。
定期的な体力検査のように、「今の十代は持久力が下がった」とかいうように分かるものでもありません。
ただし、採用活動の過程で非常にわかりやすい「目安」があります。
それは「量」です。具体的には、資料請求やエントリーをした学生の数です。こればかりは、明快にわかる。
そして、その理由をどこに求めるでしょうか?
まあ、増えた場合というのはあまり問題になりません。「自分達の会社は、人気上がったなあ」と満足するだけでしょう。
問題は、下がった時ですね。
その会社の業績が悪かったり、マイナスのニュースがあれば、もちろん就職戦線でも人気が低下します。
しかし、当然それ以外にも原因を求めます。そう、お分かりですね。ナビサイトを初めとする「情報発信」に問題があるのではないかと考えるわけです。
ナビサイトを見ると、企業によって情報の量に差があることに気づくでしょう。
そして「女性が活躍できる企業」とか「若手が成長できる企業」などの、特集やら説明会があります。
では、そこに取り上げられる企業は、どうやって選ばれるのか?
別に選ばれるわけではありません。これも、仕組みとしては広告です。たくさんの情報を発信している企業は、たくさんのおカネを払っているわけです。
そして、よりコストをかけたのであれば、当然のように成果を求めます。そして、その成果は当然「量」で測ります。
単にエントリーの数だけではありません。「女性が活躍できる」とアピールしたら、女性に増えてほしい。「グローバル」とアピールしたら、英語のできる学生が増えてほしい、など切り口は企業によって違います。
しかし、広告の成果は基本的には「量」で決まります。
そして、学生がどこに、どのくらいアクセスしたか。それでどれだけの申し込みがあったのか、なども分かる。皆さんが、軽い気持ちでクリックした数の集積が、サイトを運営する人々を一喜一憂させているのです。
さて、そう考えると「就活関係者」の言うことにも、十分留意した方がいい。たとえば「エントリーシートは、多くの企業に出した方がいい」という意見があったら、どう思いますか?
これを話した人が、ナビサイトの運営会社だったら「そりゃそうだろ」と思った方がいいでしょう。ESが多ければ、ナビサイトは嬉しいのです。
ちなみに、ESの数は学生の特徴にもよるので、一概に適正な数があるとは言えないと僕は思います。

就活サイトは学生からのアクセスやエントリーなどの「量」を競っている。一度冷静に、見直してみよう。
( 2012年11月6日 )

前後の記事

就活セットアップとは?
就職を控えた学生が「就活前」に知ってほしいことや、考えておくべきことを書いていきます。読みながら気持ちの準備を進めてもらいやすいように、毎日少しずつ。溢れる情報の中で迷ってしまった時に、立ち返ってこられるようなサイトにしたいと思います。
著者紹介
山本直人 やまもと なおと
1964(昭和39)年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部卒業。博報堂に入社。2004年退社、独立。現在マーケティングおよび人材育成のコンサルタント、青山学院大学経営学部マーケティング学科講師。著書に『電通とリクルート』など。