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4章 キャリア論のノイズ


4-1. 会社は本当にダメなのか?

2章では、就活に関する情報の「見分け方」方や読み込み方について話をしました。
とりわけナビサイトなどの就職支援産業が発する情報についての仕組みについて理解してもらうことで、余計な焦りを取り除いてほしいと思ったのです。
ところが、就活学生を対象にした情報以外にも、世の中には「怪しいキャリア論」が溢れています。
今週は、こうした「キャリア論もどき」とでも言うべきノイズから身を守る方法を考えておきたいと思います。
このようなノイズに付き合っていれば、いつまでたっても自分の信念を持てないし、就活が始まってもフラフラするだけだからです。
さて、いま一番のノイズと言えば「もう会社で働くのは遅れてる」という議論でしょう。
組織から離れて働くことが未来的であり、会社自体が古いという発想です。
しかし、その議論自体にあまり意味がないし、会社で働くことは十分に意義があるということは最初の方の回で書きました。
その一方で、日本の企業が様々な難題に直面していることはたしかです。かつての成功体験から脱却できないために、苦しんでいるケースは多い。
じゃあ、会社はダメなのかというと、それも疑問です。ちょっと視野を広げてみると、会社の存在意義は高まっていると思います。
なぜか?グローバル化が進んで行ったり、社会が不安定な時こそ「協力する」ということが求めれられるからです。
companyは「ともに」という意味合いを含んでます。会社という言葉も、同じようなニュアンスがあります。「ともに」何かをおこなうのです。
学校を出ても、一人でできることは限られています。組織の中で経験できること、学べることは多い。
まだ未熟な人間を育てながら、協力し合って糧を得る「会社」というのは、かなり良くできた仕組みです。
もちろん、仲間と起業したり、一人で働くこともいいと思います。自分は両方経験しているので、それぞれの長短を知っています。
そして、僕は会社で働くことには、一人で働くことにはない価値があると思います。「会社は古い」というような、煽りの論調に惑わされずに、冷静に考えてほしいと思います。
メディアは常に「目新しいもの」を持ち上げる。それよりも、いま現場で努力している、多くの無名の人々の話に耳を傾けた方がいいでしょう。
伝統的なものが曲がり角になると、すぐに存在ごと否定するようになる。人気がなくなれば「もう野球はダメ」ビジネスが斜陽になれば「音楽はダメ」のように。
違うと思います。いつの時代にも「ダメな野球」や「ダメな音楽」があるだけです。そしていつの時代にも、同じように「ダメな会社」がある。ただし会社の役割は依然として大きいし、また可能性もあります。
むしろ、会社を再生させることに挑戦することは、次の世代に求められていると感じます。
そして、困難な局面を迎えている会社では、日々人々が努力している。そうした現場を知らないで、「会社は終わった」という人の思考回路の方が、どこかで終わっているのです。

学生のうちに評論家になってしまうのは、大きな損。「会社がダメ」論に惑わされずに、もう一度会社の役割を再構築することに挑戦してはどうだろう。
( 2012年11月12日 )

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就職を控えた学生が「就活前」に知ってほしいことや、考えておくべきことを書いていきます。読みながら気持ちの準備を進めてもらいやすいように、毎日少しずつ。溢れる情報の中で迷ってしまった時に、立ち返ってこられるようなサイトにしたいと思います。
著者紹介
山本直人 やまもと なおと
1964(昭和39)年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部卒業。博報堂に入社。2004年退社、独立。現在マーケティングおよび人材育成のコンサルタント、青山学院大学経営学部マーケティング学科講師。著書に『電通とリクルート』など。