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5章 採る側の立場で考える


5-3. コミュニケーション力の正体

日本の企業がコミュニケーション力を求める背景については、前回書きました。しかし、このような流れには、批判もあります。
それは、多くの企業が同じような基準で選考するために、他にいいところがあってもコミュニケーション力が低いために選ばれない人が出てきてしまうということです。
逆に言うと、コミュニケーション力の高い学生ばかりが、多くの内定を取るというわけです。
まじめなのに口下手だから就職がうまくいかない。たしかに、それはちょっと残念な気もしますよね。
しかし、こういう議論はちょっと危ういと思います。別に口が達者だから内定が取れるものでもありません。そもそも、日本ではコミュニケーションという言葉の意味がちゃんと理解されてないのです。
コミュニケーションという言葉を、英和や国語の辞書で調べると「伝達しあう」という意味が出てきます。辞書によって差はあるが「伝える」という意味だと思われてます。
ところが英英の辞書で調べると、ちょっと様子は異なります。オックスフォードの辞典はcommunicateを次のように定義してます。
to make common to many share,impart,devid
つまり、多くのひとが分かち合ったりすることができる“何か”を作ること、となってます。
他の辞書でもimpartのような単語が出てきます。つまり「分かち合う」という意味です。
これは、「伝える」とは、かなり違います。
伝える、というのはAからBへ「→」が走っている感じでしょう。一方「分かちあう」というのは、一つのモノをそれぞれが共有するということ。
わかりやすく言えば、鍋料理とかピザを、一つのテーブルで食べるようなものです。
コミュニケーションというのは、共通の「何か」があれば成り立つ。つまり、共通の「何か」を探すことがすべてです。
それなのに、日本では「伝える」という意味で捉えられる。そこで、上手に伝えることに熱心になり、プレゼンテーションの勉強に一生懸命になってます。
つまり、コミュニケーションの本質を考えずに「うまく伝えよう」ということに焦っているのは就活学生だけではありません。
こう考えると、コミュニケーションということの別の側面が見えてきます。
採用側から見て、「コミュニケーション力が高い」学生というのは、共通の話題を持っているかどうかです。
コミュニケーション力が低い学生は、そもそも企業や社会について勉強不足であることが殆どです。
多少しゃべるのが苦手だったり、あがってしまうような学生はたくさんいます。しかし、社会に出てトレーニングをしているうちに、変化は起きます。
人事はそういうことをもちろん知ってます。口下手だからといって、選考から落としてしまえば会社にとって損失なのです。
だから、そういう傾向の学生はできるだけリラックスさせていいところを引き出そうとするのです。
そういう時に人事が話したい「共通の話題」とは何か?という視点で、面接のことを考えてみましょう。

コミュニケーションの極意は「共通のテーマ」を分かち合うこと。別に口下手でも面接ではアシストされることも多い。
( 2012年11月21日 )

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就職を控えた学生が「就活前」に知ってほしいことや、考えておくべきことを書いていきます。読みながら気持ちの準備を進めてもらいやすいように、毎日少しずつ。溢れる情報の中で迷ってしまった時に、立ち返ってこられるようなサイトにしたいと思います。
著者紹介
山本直人 やまもと なおと
1964(昭和39)年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部卒業。博報堂に入社。2004年退社、独立。現在マーケティングおよび人材育成のコンサルタント、青山学院大学経営学部マーケティング学科講師。著書に『電通とリクルート』など。