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6章 もう一度社会を見直す


6-1. 「リスク」の意味、知ってる?

「就活セットアップ」は、今週でいったん連載を終了します。
そして、今週は「もう一度世の中を見直す」ということで、就活中だけではなく、将来社会に出ていく上で考えてほしいことを中心に書いておこうと思います。
内容は、「学校では教わらないけれど、いまきちんと意味を知っておかないといけない言葉や考え方」についての整理です。
流行り言葉などの本質を知らないでいろいろな情報に振り回されないための土台になればと思います。
今日は、まず「リスク(risk)」という言葉についてです。皆さんはriskという英語に対応する日本語は何だと思いますか?
「危険」と答えれば、間違いではないでしょう。実際に辞書を引いてもそう書いてあります。
では、dangerとはどこか異なるんでしょうか?
この辺りになると、英和辞典も結構曖昧なものが多いんですね。結論から言うと、「risk=危険」では、言葉の本質は理解しにくいと思います。
ちなみにこんな言い回しを聞いたことはありますか?
「リスクを取って、挑戦する」のような言い方です。
では、この「取る」って何でしょうか?
英語では”take a risk”という表現があります。takeというのは、いろんな意味があって訳しにくいこともありますが「リスクを取る」というのは、この表現を日本語にしたのでしょう。
では、「危険を取る」ってことですか?それは、ちょっと変ですよね。リスクを「取る」からには、何らかの意図があるということです。
スポーツ選手が体を痛めたとします。そこで、手術を受ける決断をしたが一定の率で失敗するかもしれないし、選手寿命は終わるかもしれない。
ただし成功すれば復活する可能性が高い。この時の手術はまさに「リスク」です。
つまり単なる「危険」ではない。それならば、「避ける」対象であって「取る」モノではないからです。
リスクというのは、それを自ら選択した時に「一定の確率で失敗するかもしれない状態」です。敢えて日本語にすれば「不確実性」と言ってもいいでしょう。
これは、今までの日本人の間では苦手なことでした。戦後にずっと経済成長が続いてきた環境では「リスクを取る」ということをしなくても良かったからです。
というより、人間の歴史でリスクがない時代はありません。戦後日本があまりに特殊だったのです。
しかし、「リスクゼロ」ということは、本来ありえません。そうなると、大切なのはリスクを低減させることではありません。それでは、何も思い切った行動はできないのです。
常に考えることは「悪いことが起きたらどうするか」「そのために何をするか」ということです。
「大企業に行けばリスクが少ない」ということは今や伝説です。というよりも、一生安定した暮らしという前提で発想すること自体が最大のリスクになりました。
どんな職場でもまず全力を尽くし、自分自身の能力を高めることが、一番のリスク管理になるわけです。
これからは、どんな道を選んでもリスクはあります。それは「普通の時代」になったともいえるのです。

どんな選択にもリスクはある。初めから心配するよりも、環境変化に対応できるような努力をすることが一番のリスク管理。
( 2012年11月26日 )

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就活セットアップとは?
就職を控えた学生が「就活前」に知ってほしいことや、考えておくべきことを書いていきます。読みながら気持ちの準備を進めてもらいやすいように、毎日少しずつ。溢れる情報の中で迷ってしまった時に、立ち返ってこられるようなサイトにしたいと思います。
著者紹介
山本直人 やまもと なおと
1964(昭和39)年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部卒業。博報堂に入社。2004年退社、独立。現在マーケティングおよび人材育成のコンサルタント、青山学院大学経営学部マーケティング学科講師。著書に『電通とリクルート』など。