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6章 もう一度社会を見直す


6-3. 世界を変えるか、いまを守るか

今年の就職活動には、今までにない環境があります。それは、総選挙が行われるということです。
実は、これを機会に真剣に政治のあり方や政策について考えてみることは、実は就活においても大変にプラスになると思います。
誰に投票するか、あるいは投票すること自体も皆さんの自由ですし、何か促そうとしているわけではありません。
また、面接で政治がらみのことを聞かれることはあまりないと思います。まして支持政党を聞くような会社は、むしろ問題があると考えていいでしょう。
では、選挙に関心を持つことはなぜ「プラス」なのでしょうか。それは、選挙中の論戦を通じて、日本や世界の課題が浮き彫りになってよくわかるということ。
さらに会社を選ぶ上でも、何らかのヒントになると考えられるからです。
ただし、今回の選挙の争点はかなり難解になっているようにも感じます。特に経済政策や金融関係の話になると、僕自身も、誰が正しいのか正直確信がもてません。
そもそも、経済学者やエコノミストの言っていることさえ千差万別です。これは、投票しようとする際には悩ましいことですが、皆さんにはもう少しシンプルな視点を持っていただきたいと思います。
それは「変えるのか、守るのか」という視点です。
いまは、多くの人が「改革」を口にします。そもそも、どんな世の中にも100%の満足などありません。経済成長期の日本だって、いろいろな問題を抱えていた。
そう考えると、政治というものはそもそも何らかの「改革」をして、少しでも人々の満足を高めるための営みと言ってもいいでしょう。
また、多くの意欲ある若い人から「今の日本の仕組みを変えたい」という声を聞きます。そして、実際に取り組んでいる人も知ってます。
ただし、そうした「改革熱」に浮かされていて、とにかく「今の社会はダメだ」と感覚的に捉えている人も一方では多いと感じます。
ちょっと、視点を変えてみましょう。
社会に問題点が多いとはいえ、日本にはいいところもたくさんあります。勢いのある声に押されてついつい見落としがちですが、今の日本で「守っていきたい」と思えるものもまた、たくさんあります。
昨年の大震災では、多くの命そして営みの基盤が失われました。そうした中で、大切にしていきたいもの、の存在意義も問われているように思います。
「世界を変える」そういう仕事に取り組みたいという気持ちはわかります。新しいものに挑戦してきたのが、人類の歴史です。
一方で、技術革新によって当然失われたものもあります。
たとえば、オートメーションによって、職人芸は貴重なものになりました。ITの進歩で、紙による出版文化も姿を変えようとしています。
世界を変えるか、今を守るか。そこに、明快な正解はありません。ただし、人々は、どこかで決断してきました。
今回の選挙を通じて論じられることもまた同じです。何を変えるか、何を守るか。
社会の構造を捉え直し、またそれぞれが「将来したいこと」を考える上でもいい機会だと思います。

「世界を変える」ことと、「今を守る」という岐路の中で、人々は様々な決断をしてきた。今回の選挙は、社会そして自分の将来を考えるいい機会になる。
( 2012年11月28日 )

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就活セットアップとは?
就職を控えた学生が「就活前」に知ってほしいことや、考えておくべきことを書いていきます。読みながら気持ちの準備を進めてもらいやすいように、毎日少しずつ。溢れる情報の中で迷ってしまった時に、立ち返ってこられるようなサイトにしたいと思います。
著者紹介
山本直人 やまもと なおと
1964(昭和39)年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部卒業。博報堂に入社。2004年退社、独立。現在マーケティングおよび人材育成のコンサルタント、青山学院大学経営学部マーケティング学科講師。著書に『電通とリクルート』など。