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6章 もう一度社会を見直す


6-4. 情報は命令である

今回の連載では、就活をめぐる「情報」の話について、特に書いてきました。
ナビサイトなどは「当たり前」のようにして使っていますが、その仕組みについて、本当に理解している人は結構少ないと思います。
いろいろな面で、学生は情報のターゲットとして狙われています。そして、そのような情報ををうまく付き合うことが大切だと思っているでしょう。
就活だけに限らない。常に「情報強者」であることが、生活を充実させるために必要だと感じている人が多数のようです。
いつでも、どこでも、情報に接していて、ネットワークにつながっていることが何より大事である。
そう思うからこそ、最新のスマホが人気になるし、評判のアプリを試してみる。まず「知っていること」で優位になれる、という感覚を持っているようです。
その一方で、またたくさんの人が「情報に振り回されている」という感覚を持っています。
ネットによって爆発的に情報は増えましたが、その中には怪しげなものも多い。匿名の情報などが、じつは「ヤラセ」だったというような話が分かりやすい例でしょう。
そうした環境の中で、学生の皆は「情報」というものに対して、どんな意識を持っているのでしょうか。
先般、就活を控えた大学生が集まった会で、色々と話をしました。その際に、言ったことで後から皆が「印象に残った」と声を寄せてくれたことを、書いておきます。
それは「情報は命令だ」ということです。
一瞬、みんな「?」という顔をしました。そこで、僕はこう尋ねました。
「天気予報で“明日は雨”というのは、どんな命令?」
「…傘を持て、です」
「じゃあ。“食べログ4.5”は?」
「…絶対行くべき、ですね(笑」
そうなんです。ここで、場にいた学生は全員気づきました。実は、情報を「獲得していたつもりでいながら、無意識のうちに無数の命令を受けていたことに。
この「情報は命令」というのは、僕が考えたことでない。とある本に書いてあったことの引用です。
僕も、この言葉にはハッとしました。情報に関わるビジネスにいながら、一人の人間としては情報過多と依存への違和感を持っていた。
それをズバリと突かれた、と感じたのです。
「情報は命令」それを知ったところで、やはり情報から逃げるわけにはいきません。特に就職活動において、情報収集なしに臨むことはあり得ない。それはネット以前の時代から同じです。
しかし、あまりにもたくさんの情報で混乱した時に、自分に問いかけることは可能です
「人より前に出ようと情報を集めているうちに、実は情報に命じられているのではないか?」と。
就職活動中はもちろんですが、社会に出てからも情報はドンドン降りかかってくる。そういう時には、まず「自問する」ということが本当に大切になると思います。
また、こうした情報爆発における「本」の意味についてはこちらのインタビューで話したのでぜひご覧ください。
※佐々木中『切りとれ、あの祈る手を』(河出書房新社)を参照

無数の情報が溢れているからこそ、「情報は命令」ともう一度心に刻むといい。それを思い起こすだけで、焦りかあら解放されることもある。
( 2012年11月29日 )

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就職を控えた学生が「就活前」に知ってほしいことや、考えておくべきことを書いていきます。読みながら気持ちの準備を進めてもらいやすいように、毎日少しずつ。溢れる情報の中で迷ってしまった時に、立ち返ってこられるようなサイトにしたいと思います。
著者紹介
山本直人 やまもと なおと
1964(昭和39)年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部卒業。博報堂に入社。2004年退社、独立。現在マーケティングおよび人材育成のコンサルタント、青山学院大学経営学部マーケティング学科講師。著書に『電通とリクルート』など。